I Ching for life   易経のある暮らし

易・タロット歴25年 実用的でわかりやすい易経を伝えたい

損 減少のタイミング

易経に、損(山沢損)と言う卦がある。

英語訳は、Diminishing-Decrease。

 

 

山沢損の意味


損と聞くと、
たいてい、損失を思い浮かべる。

 

損の語源:

減少(少なくする 弱める)
損ねる(ダメージ 損失)
控えめにする(謙虚 弱める 避ける)
悪い点を上げて非難する(批判)

 

自然は、

常に減少と増加を繰り返し、バランスを保っており、

減少は、

次なる新たな増加に必用な始まりである。

 

日常生活の損とは、

減少、譲渡、避ける
ものを減らす
人付き合いを減らす
私欲、怒り、攻撃的な姿勢から退く

など。

 

日常生活のバランスは、

丁度よい、減少のタイミングによっても支えられている。

 



損してTOKU取れ


損という漢字は、

手で儀式の器を持ち、奉納する様子を表している。

 

山沢損の卦は、


集中する
犠牲にする
譲渡する
手放す
より高い目標を目指す

と言う意味を兼ね備えている。

 

より高い目標とは、”得”を超えた次元に存在する。

損して”徳”を得る。

損することを嫌わないエゴには、
自ずとバランスがやってくる。

大人 小人 君子

易経には、大人(たいじん)、小人(しょうじん)、君子(くんし)という人物を表す言
葉が度々登場します。


Stephen Karcher氏は、
The Power of Great and Small
のなかで次のように述べています。


大人


”大”とは、あなたに求められる偉大さと力強さです。
あなたの力、強みを集結し、主要であるアイデアや目的のために自分自身を組織立て、
自分の意志を貫徹し、他者を助けたり守るために行動することを意味します。


大人とは、
これらを成し遂げた人、これらの能力を身につけた人を指します。


それは、祖先のスピリットであったり、それらを通して祝福、ありがたさを明示する存
在であり、それは、偉大なる統治者、賢人、儀式熟練者やディバイナー(予言者、易
者)、偉大な洞察を提供する輝いたスピリットと接触する者、それらを表現する力を持つ
者といえます。

 


小人


”小”とは、あなたに求められる柔軟さ、順応性、あなたの道に交差するどんなものにも適
応する性質です。
それは、自己の過大評価を手放し、自発的でしなやかなあり方に身を委ねることを意味し
ます。


小人とは、
自らの道にやってくるものに適応し、従う者を指し、これは”道”を知る事においては、重
要なステップです。


伝統的に見ると、小人とは土地を持たない貴族のことで、君主に奉公し、君主の気まぐれ
な考えや命令に従う者でした。
その者たちは、適応さと内面の働きかけを通してのみしか、自らの状況に影響を与えるこ
とは望めませんでした。
小人という言葉は、変化の小さな起こりに気づき、自尊心と混乱から無傷でいる者とし
て、タオイストの引き合いに出されます。

 


君子


君子とは、学識、人格ともに優れた立派な人、人格者、聖人のことです。

 

”道”に沿った行動するために変化を利用し、自分が本来あるべき姿になるために力と徳を
積むことが、君子たる者の目的です。

 

#易用語

#大人小人君子

卦のペアについて

2月も逃げるように去り、季節は変化し、
地中海には、また春が巡ってきました。

 

今日は、
卦のペア 卦49”革”と卦50”鼎(かなえ)”、変化から変換へというお話。

 

易経には、1から64まで卦があり、
卦1と卦2、・・・・卦63と卦64は、ペア/対になっています。

 

例えば、最初のペア、卦1”乾”と、卦2”坤”。

卦の形を並べて見ると、
”乾”は、全て陽爻であるのに対し、
”坤”は、全て陰爻。

そして、卦が示す意味のペア、
”乾・坤”、とは、
”陽・陰” の意味を表しています。

 

このような関連性が、最後のペアである
卦63”既済”と 卦64”未済”まで続いてゆきます。

 

その中で、今日は、1組のペア、
卦49と卦50についてのお話。

 

まずは、卦50”鼎”。

鼎は、3本足がついた器のことを指し、調理するために使われていたものですが、
次第に、食べ物を盛る器として、祭祀の儀式で、神や祖先に供物をささげる神聖な器として、人とスピリットの間で食物を共有するために使われました。

下記の写真はその一例ですが、青銅の器で、この文化財の重さと存在感を感じていただけるかと思います。

鼎は、ものを収容し、調理するために使われたことから、取り込み、変換することを表します。

変換とは、「新しいものを把握する」という意味でもあり、理解という確固とした基盤の上に、何か新しい秩序を確立することを表します。

また、鼎は、スピリットに問いかけることを意味します。
鼎は、そこに居合わせるスピリットとの開かれたコミュニケーションの一部となり、
変換という作用に関わるものです。

 

 

この変換も、その前の卦49”革”、
つまり根本的な変化なしでは起こり得ません。

根本的な変化とは、過去を片付けること。

周時代の前に栄えていた商王朝は、独裁君主政治で、政治的に腐敗していたようです。

その退廃的な政治と、生贄を含む、神聖さとは程遠い残酷な迷信的宗教性、精神性を一新する目的で、周王朝が確立されたとも言われています。

 

この卦49から卦50へのストーリーは、商から周へという、時代の移変りと重なります。

 

古い方法を捨てない限り、真に新しい関係、理解、存在の方法を確立することはできません。
前回の、易とシャーマンの記事で述べた易経の著者の一人である文王は、歴史的な事例を通し、このことを痛感していたことでしょう。

 

易が述べる根本的な変化とは、
あなたの古いアイデンティティを捨て、今の新しい自分と一致させる、
新しいあなたのあり方と、新しい他者との関わり方を試す時、というアドバイスです。

また、”革”という文字は、動物の皮という意味を持っています。
アイデンティティーと力、それらを得るために、シャーマンたちは皮を身につけていました。

 

 

外なる変化は、内側の意識の変化から。

変化と変換は、
あなたの人生が、より素晴らしい”器”であるため、
必要不可欠な過程です。

 

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写真:商時代の鼎

一陽来復

易経24卦”復”から生じた言葉、一陽来復。

24卦は、陰が極まった後(六爻(こう)全て陰爻)、

初爻が陽爻に転ずる卦であることから、
一陽来復は、暗さが最も極まり、明るさが戻る冬至を表します。

 

古代ゲルマン民族は、冬至を一年の始まりと考えており、
また、ローマカトリック教成立以前にあったペーガンも、
太陽を信仰していたので、太陽が復活する冬至は、特別なお祝い事でした。

 

世の中は、クリスマス一色ですが、
クリスマスは元々、このペーガンの冬至を祝う習慣のことでした。

 

”復”

困難の後、戻ってくるエネルギーと精神、新たなサイクルの始まり、再生、新たな希望。

この新しいエネルギーに立ち返り、もう一度始める。
原点回帰、最初の純粋さを取り戻す。
スムーズに事が終わり、始まる時、
ストレスをかけずに、事を顕わにする。
新しいアイデアを受け入れる。

 

クリスマスも良いけれど、
我が家は、
太陽という時計が差す、00:00冬至に重きを。
始まり に 始める、
自然という暦に調和した暮らし。

 

 

皆様、
心暖かな冬至をお過ごしください。


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尋ねる期間の設定(易経を学ぶ)

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易経は、現在から未来へと向かう階段が、どんな一段なのか、           

そしてそれぞれ一段ずつごとに行う行動を示唆します。


未来で何が起こるか、どうしても知りたいと感じる時があるかもしれません。    

実はその場合、あなたが本当に求めているのは、                 今、何をすべきか、であることが多いように見受けられます。


詳細にわたって物事を述べる易経から、より良いガイダンスを得るため、     

尋ねる期間は、最大で向こう三ヶ月、例外的に6ヶ月までと設定しております。    

このように期間を設定する理由は、    リーディングの内容を忘れることなく行動に移すため、
そして、より詳細にタイミングを知ることが、非常に役に立つからです。

     

易経を学び始めた方なら、勉強のために、1日あるいは数日単位で尋ねることを積み重ねることで、易の奥深さに近づくことができると思います。       

その際の質問は、具体的な日常な事柄から、「今日という1日を有効に使うには、どのように過ごせばいいか」という質問でも良いでしょう。


何事も、習得するには、日々繰り返し練習することが上達の鍵であるように、    

易経も、大きな決断の時だけではなく、日常生活で実践し、          

ご自身の現実に、日々活かすことが、易経の最大の魅力の一つと考えています。