I Ching for life   易経のある暮らし

易・タロット歴25年 実用的でわかりやすい易経を伝えたい

光りを観る

現在のような交通手段がなかった一昔前では、旅とは、日々歩き続けるという、決して楽ではないことであり、また旅の道中、追い剥ぎなどに出会うといった、危険を伴うことでした。

 

新幹線なら2時間半で行ける東京ー大阪間も、江戸時代は、普通の人なら17日位で、一生に一度あるかないかの体験。
飛脚なら3−4日で行ったようですが、わらじでというのだから、驚異的です。

 


今、話題になっている国内観光需要喚起を目的としたGO TOキャンペーン。

 

観光という言葉は、易経、卦20”観”の爻辞
”六四 観国之光 利用賓于王
国の光を観る もって王に賓たるによろし”
から生まれたと言われています。

 

”観”という卦は 、
遠くから物事を見る
傍観する(物事のなりゆきを自分の力で変えようとせず,何もしないで見ていること。)
全ての物事を視野に入れる
意味を見抜く 
ことを意味します。

 

 

光と色彩、視覚、治療効果の相関関係に関する研究の第一人者、ジェイコブ・リバーマン氏は、著書”光の医学”で、次のように述べています。

 

”人間はみずからすすんで見るのではなく、受動的に見るようにできていること、
受動的に見れば目は私たちの思うままに見えるようにできていることがわかった。
つまり、《視覚に努力は必要ない》ということである。
私たちは、映画を見るのと同じように、
努力しないで人生を見るようになる必要がある。
努力のいらない機能に努力を傾注しても、
その流れるような動き、能率、与えられる快適さ、動作の邪魔になるだけだ。
残念ながら、いつも見ることに努力を注ぐあまり、
目に見えるはずの自然界や生命の奇跡が見えてこない人々がほとんどである。”


物と情報にあふれ、無駄が多い世の中で、
人々は、世界経済にとって”良いニュース”である、単なる消費拡大のツールとして
旅や観光をするよう、推し進められ、
建築物や、食べ物を写真に収めることに心を奪われ、
生きているという奇跡ー”光り”ーを、見落としがちになっているように思います。

 

本当に必要なものを見極めるには、
特に、普段は見たくないと思っているものを、観る必要があります。


生きることの素晴らしさと恐ろしさ。

今という、見えにくい世の中を見抜き、生きてゆく上で、
この二つのバランスを取ることが、
必要不可欠なのかもしれません。

 

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